保育士業界の再就職について…産後や育児後の職場復帰は可能?

保育士業界の再就職について…産後や育児後の職場復帰は可能?

保育士に限らず、産休や育休を経ての再就職に悩む人は少なくないのではないでしょうか。特に直接妊娠出産を経験するために一定期間仕事を休まざるを得ない女性の場合には、より深刻な問題として横たわってくるのが再就職問題です。保育士業界では、再就職はしやすいのでしょうか。今回は、保育士業界の再就職事情について解説していきます。

保育士は深刻な人手不足にある

保育業界を取り巻く事情の中でも広く知られているのは、深刻な人手不足にあるという事実でしょう。

近年メディアでも騒がれている通り、保育業界では待機児童問題が深刻化しており、施設的な余裕があっても保育士の人出不足が原因で受け入れを断る施設もあるということで、待機児童問題は保育士の人手不足が深刻な原因のひとつとなっています。

人手不足が慢性的に続いていることから、保育士のニーズは今後も都市部を中心に右肩上がりとなっていますが、なかなか人材が確保できていないのが現状です。

職場環境と求職者の希望とマッチしていない厳しい現状がある

保育業界の深刻な人手不足の原因として大きいのは、需要の大きさや労働の厳しさに比べて給与が低すぎることです。厚生労働省の賃金構造基本統計調査を紐解くと、平成27年度の保育士の平均月収は、平均年齢35歳でおよそ22万円と非常に低く、平均年収は323万円とサラリーマン全体の平均よりも100万円近く低い数値となっています。

子どもの成育において非常に重要な時期に携わるという責任の大きさ、残業や不定休も含めた労働環境のハードさに比べると、給与水準はあまりにも低すぎるといえるでしょう。

こうしたギャップから特に就業3年未満の保育士の離職率が非常に高くなっており、そうした現状を踏まえ、厚生労働省では保育士復帰支援や人材確保に向けた取り組みを進めています。たとえば、保育士養成校での受講費用の支援、就学資金の貸付を行うなどの資格取得の支援から、継続して就業するための各種ケアや研修を行うなどの就業済みの保育士への支援活動、労働環境の改善、処遇の改善もプランに盛り込まれています。

人手不足だからこそ「産後の再就職」が厳しい場合もある

慢性的な人手不足であれば、出産後の職場復帰や再就職は一見容易なように思えるかもしれません。しかし、特に女性の保育士の場合、子を持って間もない時期のワーキングマザーとなるわけですから、かなり高い確率で子どもの体調不良などで早退や欠勤の可能性が高くなってしまいます。

保育園によっては、そうした出産直後の手のかかる子どもを抱えた保育士の再就職を歓迎しない向きもあります。ただでさえ人手不足なのに、急な早退や欠勤の可能性が大きい社員を雇用するのは損失が大きい、と考えてしまうのも無理はないことです。

人手不足に喘ぐ現場が最も必要としているのは、産後の女性保育士よりもむしろ、保育士資格を持ちながら保育関連職についていない「潜在保育士」の存在でしょう。そのため他業種からの転職は積極的に受け入れており、保育士資格の取得要件も年々変わり、かなり資格が取りやすく、また働きやすくなっています。

たとえば、地域限定保育士という資格が新たに設けられ、地域限定保育士試験に合格すれば合格した都道府県において保育士として働くことも可能になるうえ、3年後には地域の制限が取り払われてどこでも保育士として働くことが可能になります。

また、従来から保育士国家試験の全10科目のうち合格している科目については3年間有効となる制度があり、3年以内に全ての科目を合格すれば段階的な試験合格も可能となります。2016年より保育士国家試験の実施回数も年2回となり、より効率的に資格取得に向けて動ける環境が多角的に整いつつあります。

再就職をする際には、パートタイムや派遣から始めるのがベスト

再就職の際に現場としても受け入れやすく、職場復帰や再就職を望む求職者にとってもメリットが大きい方法として、パートタイム労働者として再雇用されることや、保育士業界に特化した派遣会社への登録を行い、派遣社員として再就職するという方法があります。

フルタイム労働者の確保の際には、急な早退や欠勤はリスクとなってしまいますが、パートタイム労働や派遣の場合は、そうしたリスクがフルタイムよりは軽減されますし、お互いにとってフレキシブルな対応が行えます。

特に派遣会社を介して就業している場合には、急遽出勤できなくなっても、同じ派遣会社の他の人材に臨時でのヘルプ出勤要請を行うことも可能となり、リスクヘッジも可能です。また一定の要件を満たせば社会保険にも加入できますのでシングルマザーにとっても助かるうえ、派遣であっても要件を満たせば産休や育児休暇も取れますので、第2子以降も検討できます。

労働力は常に不足しており、フルタイムの安定した勤務は確約できなくとも、少なくとも子どもが手のかかる時期だけは、派遣などの短時間勤務を前提とした契約で働くほうが、求職者にとっても雇用側にとっても都合がいいのです。子どもに手がかかる年代である場合に再就職が難しいときは、こうした方法も検討してみることをお勧めします。

まとめ

以上、保育士の再就職事情について一通り解説しました。保育士は深刻な人手不足が大きな問題となってはいますが、厚生労働省による待遇改善のための取り組みも行われていますし、今後確実に需要が上がると見込まれるので他業種からの参入も相次いでいます。今は辛くても、5年後、10年後には状況が一変している可能性もあります。

今はより働き方も多様化している渦中にある、時代の変わり目でもあります。今は再就職が難しくても、より多様化した働き方改革が充実することによって、産後の再就職もより簡単になる可能性も少なからずあるといえます。それまでは派遣などの働き方を活用しつつ、キャリアを積んでいくことが大切です。

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